蓄電池を自宅に導入したいけど、元が取れないと聞いて導入するか迷っている方はいませんか?
初期費用が高いため、経済面でのメリットがどのくらいあるか気になりますよね。
蓄電池は太陽光パネルと組み合わせると電気代を節約でき、元を取れる可能性があります。また、地球に優しい生活ができたり、防災になったりと他にも多くのメリットがありますよ。
この記事では、蓄電池の導入に迷っている方に蓄電池の元を取るポイントやメリットをわかりやすく解説します。
具体的な金額を計算して、蓄電池の元が取れるかどうかをじっくり説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 蓄電池を導入するメリット
- 蓄電池の元を取るためのポイント
- 蓄電池の初期費用
- 蓄電池の元を取るのにかかる期間
蓄電池は元が取れないって本当?
蓄電池の元を取るとは「購入費用分を取り返すこと」を表しており、元が取れるかは状況により変わってきます。
元を取るには蓄電池の電気を貯める機能を活用して、数年間で節約できる電気代が購入費用を上回る必要があります。
蓄電池単体だと、電気を効率的に使えるものの、元が取れるほど電気代を節約することは難しいです。元を取るには太陽光パネルや他の機器と組み合わせて、電気代の節約効果をより高める必要があります。
それでも、太陽光パネルと組み合わせてもすぐに元を取るのは難しく、経済的メリットだけを見ると、思ったような効果を得られない場合もあります。
後悔しないためにも、蓄電池を導入する際には経済面以外のメリットも知っておきましょう。
蓄電池は貯めた電気を停電時に使え、非常用電源として災害の備えになります。また、太陽光パネルで発電したCO2(二酸化炭素)を排出しない、環境にやさしい電気を効率よく使えるため、環境面でもメリットがあります。
蓄電池の導入に迷っている方は、経済面だけで考えずに、このような他のメリットを把握したうえで、総合的に判断するのがおすすめです。
蓄電池を導入する3つのメリット
蓄電池の導入に迷っている方は以下の3つのメリットを把握しておきましょう。
- 夜間の安い電気を活用できる
- 太陽光発電の余剰電力を貯められる
- 災害時や停電時の非常用電源になる
それぞれ詳しく説明しますね。
夜間の安い電気を活用できる
夜間の電気代が安くなる電力会社のプランを利用している方は、蓄電池を活用すると電気代を節約できます。
電気代の安い夜間に、電気を蓄電池に貯めて、日中に貯めておいた電気を使うことで、差額分の電気代が安くなります。
ただし、昼間の電気代は割高になるため、日中に自宅にいる時間が長いという方は注意してください。
在宅ワークをしている方や日中に家族が自宅で過ごしている方は、電気の使用量が多いと、夜間に貯めた電気だけでは賄いきれず、割高になった電気を購入しなくてはいけない場合があります。
電気代が高くなってしまうケースもあるため、家庭でのライフスタイルを考慮して電気プランを考えましょう。
太陽光発電の余剰電力を貯められる
蓄電池は電力会社の電気だけでなく、太陽光発電で作った電気も貯められます。太陽光発電は日中の発電量が多くなりますが、昼間に自宅で使う電気が少ないと、使わなかった分だけ電気が無駄になってしまいます。
蓄電池があると、使い切れなかった余剰電力を貯められるため、太陽光発電の電気を無駄にしなくて済むのです。
また、太陽光発電はCO2を排出しないため、効率よく活用することで、地球温暖化防止に貢献できます。
日本は、地球温暖化対策として2050年までにカーボンニュートラル(CO2やメタンなどの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を目指すと宣言しています。(参照1)
そのため、蓄電池と太陽光発電の組み合わせはこれからさらに注目されるでしょう。
参照1:資源エネルギー庁
災害時や停電時の非常用電源になる
蓄電池に貯めた電気は、災害や計画停電で電気の供給が止まっている状態でも使えます。
停電時の1日の消費電力は約4kWといわれています。そのため、4kW以上の容量の蓄電池を設置すると、災害時でも1日分の電気は確保できるでしょう。
太陽光パネルも設置している場合は、日中に太陽光発電の電気を使いながら余剰電力を蓄電池に貯めることで、長期間の停電にも対応可能です。
非常用電源として災害の備えになるため、地震や台風が多い日本では蓄電池を置いておくと安心ですよ。
蓄電池で元を取るための4つのポイント
蓄電池は防災面や環境面でもメリットがありますが、経済面でもできる限り得をしたいですよね。
蓄電池で元を取りたい方は以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 電気契約を時間帯別料金プランにする
- 太陽光パネルも一緒に導入する
- 補助金制度を活用する
- 家庭の電力消費量に合った蓄電容量を選ぶ
それぞれ詳しく説明します。
電気契約を時間帯別料金プランにする
電気代を節約するには、電気契約を夜間の電気料金が安い時間帯別料金プランにしましょう。蓄電池に夜間の電気を貯めておき、昼間に貯めた電気を使うと、安い電気料金で一日中生活できます。
実際にはどのくらい電気代が安くなるの?
蓄電池に貯めた夜間の電気ですべて賄えると仮定して、東京電力の電気プラン(参照2)の数値を使って以下の表にまとめてみました
電気プラン名 | スタンダードS | 夜トク8 |
電力量料金(1kWh) | ~120kWh:29.80円121kWh~300kWh:36.40円301kWh~:40.49円 | 午前7時~午後11時:42.60円午後11時~翌午前7時:31.64円 |
300kWh利用したときの電気代※基本料金や消費税など除く | 10,128円 | 9,492円 |
400kWh利用したときの電気代※基本料金や消費税など除く | 14,177円 | 12,656円 |
1ヶ月に300kWhの電気を使う家庭の場合、通常のプランと夜間に電気が安くなるプランを比較すると月600円ほど電気代が安くなります。
電気使用量が増えるほど電気代の差が大きく、400kWhになると約1,500円安くなっています。電気使用量の多い家庭では、年間で1万円以上の電気代を節約可能です。
蓄電池に貯めた夜間の電気で日中も生活できる家庭状況であれば、電気プランの変更を検討しましょう。
参照2:東京電力エナジーパートナー
太陽光パネルも一緒に導入する
蓄電池と一緒に太陽光パネルも導入すると、電気代をさらに節約できます。太陽光パネルで発電した電気は無料で使えるため、蓄電池と組み合わせて、余剰電力を有効活用することが重要です。
4kWの太陽光パネルを設置した場合、電気代がどのくらい削減できるのかを環境省のデータをもとに計算してみます。
環境省のデータによると、太陽光発電の容量1kWあたりの年間予想発電量は、全国平均で1,303kWhです。4kWの太陽光パネルだと1,303×4=5,212kWhになります。
蓄電池で余剰電力をすべて活用できると、年間で10万円〜20万円もの電気代が削減可能です。ただし、実際には天気や季節によって太陽光発電の発電量が変わるため、電力会社から電気を買わないといけない日もあります。
太陽光パネルと蓄電池を組み合わせると、電気代を基本料金+少額の電力量料金に抑えられると考えましょう。
参照3:環境省
補助金制度を活用する
蓄電池の導入に補助金を交付している国や地方自治体があります。初期費用の負担を減らせるため、補助金制度は積極的に活用しましょう。
2024年度の国と地方自治体の補助金制度を以下の表にいくつかまとめてみました。
行政機関 | 補助金の名称 | 補助金額 |
---|---|---|
経済産業省 | 令和5年度補正 家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(参照4) | 最大60万円 |
東京都 | 令和6年度 家庭における蓄電池導入促進事業(参照5) | ・太陽光発電システムがある場合 以下のうちいずれか小さい額①蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満) ②蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円) ③助成対象経費の3/4の額 ・太陽光システムがない場合 以下のうちいずれか小さい額①蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満) ②蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円) ③120万円 ④助成対象経費の3/4の額 |
埼玉県 | 【令和6年度】家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金(参照6) | 10万円 |
蓄電池の容量によって補助額が変わりますが、10万円以上の補助金が受け取れる補助金制度が多くあります。
ただし、一部の蓄電池が補助対象外になる場合や太陽光パネルと一緒に導入しなくてはいけない場合があるため注意してください。
また、補助金は年ごとに予算が決まっており、予算が無くなると期限よりも早く終わってしまいます。補助金制度を活用したい方は、どのような蓄電池が対象になるのかを確認したうえで、早めに準備をしましょう。
参照4:一般社団法人環境共創イニシアチブ
参照5:クール・ネット東京
参照6:埼玉県
家庭の電力消費に合った蓄電容量を選ぶ
蓄電池を効率よく使うためにも、家庭の電力消費量や太陽光パネルの発電量を考慮して蓄電容量を選びましょう。
家庭用蓄電池には、1kWh〜5kWhの低容量タイプから10kWh以上の大容量タイプまで、さまざまな種類があります。
1日に使う電気が少ない家庭であれば、低容量のコンパクトなタイプでも効率的に活用できますが、電気使用量が多い家庭や、太陽光パネルを設置している家庭では大容量のタイプがおすすめです。
太陽光パネルで発電した電気の30%は自家消費(自宅で使うこと)、70%は売電しているといわれています。
そのため、太陽光パネルを設置している方は、1日に発電する電気の70%分の容量がある蓄電池を選ぶとよいでしょう。
蓄電池の元を取るには、家庭状況に合わせて容量を選ぶことで、太陽光パネルや家庭の電気を効率よく使えるようにする必要があります。
蓄電池の初期費用はどのくらいかかる?
初期費用は蓄電池の容量や機能によって変わってきますが、蓄電池本体と工事費用を合わせて150万円〜300万円ほどかかります。10kWhを超える大容量タイプだと400万円以上かかる機種もあります。
いくつかの蓄電池の値段を以下の表にまとめましたので見ていきましょう。
品名 | 容量 | 値段(税込) |
---|---|---|
パナソニック「リチウムイオン蓄電池ユニット(LJB1235)」 | 3.5kWh | 1,760,000円 |
京セラ「リチウムイオン蓄電システム(EGS-LM72B)」 | 7.2kWh | 2,520,000円 |
ニチコン「単機能蓄電システム(ESS-U4M1)」 | 11.1kWh | 4,070,000円 |
太陽光パネルを設置していて、後から蓄電池を導入する場合は10kWh以上の容量が必要になることが多いです。補助金を活用できても、初期費用は200万円~300万円かかると予想されます。
蓄電池の寿命は一般的に15年~20年といわれています。そのため、蓄電池の元を取りたい方は初期費用を20年以内に回収できるかを考えるとよいでしょう。
蓄電池は太陽光と組み合わせると何年で元が取れる?
太陽光発電を活用して蓄電池の初期費用を回収するには10年〜20年ほどかかります。以下の条件で蓄電池の元を取るまでに何年かかるかを具体的に計算してみました。
- 1ヶ月間の平均電気使用量は400kWh(太陽光発電の電気は含まず)
- 太陽光パネルの容量は4kWで発電量の3割を自家消費している
- 蓄電池の導入で自家消費できていなかった太陽光パネルの電気の9割を家庭で使えるようになる
- 電気契約は東京電力の「スタンダードSプラン」
- 初期費用200万円で10kWhの蓄電池を導入
すこし複雑な計算になりますが、具体的な数字をいれた例が以下になります
蓄電池導入前の電気代は基本料金や消費税などを除くと1ヶ月14,177円、1年間170,124円です。蓄電池を導入すると電気代がいくらになるか計算します。
4kWの太陽光パネルだと年間予想発電量は5,212kWhで、そのうち3割を自家消費しているため、5,212×0,7=3,648.4kWhの電気は家庭で消費できていないことがわかります。
蓄電池を導入すると、自家消費できていなかった電気の9割を家庭で使えるようになり、3,648.4×0.9=3,283.56kWhの太陽光発電の電気が使用可能です。
そのため、電力会社から1年間に購入する電力量は4,800-3,283.56=1,516.44kWhとなります。1ヶ月の平均電気使用量は約126kWhとなり、電気代は1ヶ月3,794円、1年間45,528円です。
蓄電池を導入することで、年間の電気代が蓄電池導入前の170,124円から導入後の45,528円に変わると予測されるため、1年間で124,596円もの電気代を節約できます。
この条件の場合は、毎年12万円ほどの電気代が節約でき、初期費用200万円を回収するのに約17年ほどかかる計算になります。
実際には電気の基本料金や売電収入などが加わり、計算が変わってきますが、太陽光パネルと組み合わせると、蓄電池の元を取ることは可能であるといえるでしょう。
蓄電池を後付けする
家を建てるときや太陽光パネルを設置したときに蓄電池を合わせて購入しておらず、蓄電池の後付けを検討している方も多くいます。
蓄電池を後付けしても、メリットはあるの?
すでに太陽光パネルが設置してあるならば、蓄電池が後付けになっても多くのメリットがありますよ
太陽光パネルで発電した電気を貯めておけるため、電力会社から購入する電気が少なくなり、電気代の節約とCO2の削減につながります。
自宅の太陽光パネルの容量に合わせて蓄電池を選ぶことで、10年~20年ほどで蓄電池の元を取れるだけの電気代を削減可能です。
予算の関係で、太陽光パネルと一緒に蓄電池を導入するのが難しい場合は、後付けを検討してもよいでしょう。
蓄電池は太陽光発電との併用がおすすめ!
蓄電池は太陽光発電と組み合わせると、電気代の節約効果により元を取れる場合があります。
経済面以外にも、CO2の排出量を減らして地球温暖化対策に貢献できたり、災害時の非常用電源として防災になったりするメリットもあります。
補助金制度が利用できると初期費用を抑えられるため、蓄電池の元を取れるか悩んでいる方は、太陽光パネルと一緒に導入するのがおすすめです。
蓄電池は後付けしてもメリットがあります。すでに太陽光パネルを設置している方や、予算の関係で蓄電池と太陽光パネルを一緒に導入するのが難しい方は、後付けを検討してみてください。
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