脱炭素はEV(電気自動車)で達成できる?CO2を減らす車の使い方とは?

近年、よく話題になるEVですが、脱炭素を実現するために必要なものだということをご存知でしょうか。脱炭素とは「CO2を含む温室ガスの排出を実質的にゼロにすること」です。脱炭素を達成するために、日本政府はEVの普及率を100%にする方針を掲げています。

しかし、EVに乗り換えることで脱炭素へどのくらい貢献できるのでしょうか?

この記事では、EVが脱炭素にどのくらい貢献するのか、EVの必要性やメリット・デメリットをわかりやすく解説しています。記事の最後には、EVの使用以外で脱炭素に貢献する方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事でわかる事
  • EVと脱炭素の関係
  • EVの仕組み
  • 日本と世界のEV普及率
  • EVの種類
  • EVのCO2削減効果
  • 企業によるEVを活用した取り組み
  • 脱炭素に貢献できる日常的な行動
目次

EV(電気自動車)の脱炭素は嘘なの?

EVを日常的に使用することで、脱炭素の実現の助けになります。ただ、EVの普及だけでは脱炭素の実現が難しいというのも事実です。

お客様

EVの導入で脱炭素は実現できるの?できないの?

地球未来図

脱炭素を実現するためには、CO2の削減が不可欠です。しかし、国民全員がEVに乗り換えたからと言って、CO2排出量がゼロになるわけではありません。EVと脱炭素の関係についてポイントに分けて解説しますね。EVで脱炭素を実現するためのポイントは3つです。

1.脱炭素の実現のためにCO2の削減が必要
2.EVの活用によりCO2が削減できる
3.電気の発電によりCO2が発生していることがある

ひとつめのポイントは、脱炭素のためのCO2削減です。脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを指します。温室効果ガスは、地球温暖化の原因となるもので、CO2を含みます。

お客様

EVを活用してCO2を削減し、地球温暖化の進行を止めなければいけないのね。

地球未来図

そうです。2つ目のポイントは、EVが出す排気ガスに関してです。EVはガソリンを燃やさずに走ることができるので、ガソリン車に比べて52%のCO2排出量を削減できるのです。(参照1)多くの人がガソリン車をEVに乗り換えることで、社会全体で排出するCO2の量を減らすことができます。

ただ、現状でCO2を排出しているのは自動車だけではありません。私たちの生活の中では、電気の発電やゴミの処理などでCO2を排出しています。EVの普及で脱炭素が達成できるわけではなく、脱炭素を達成するために、EVの普及も環境のための行動の一環として行わなければいけないのです。

お客様

EVの普及以外にも、やらなければいけないことはたくさんあるのね。でも、EVの脱炭素はウソだと言われてしまうのはなぜなの?

地球未来図

EVの脱炭素はウソだと言われてしまう原因は、使用する電気にあります。最後に3つ目のポイントです。

EVは電気を使用してCO2を排出せずに走りますが、電気はどうでしょう。現在の日本では、電気を発電するために火力発電が多く活用されています。2022年に発電された電気のうち、73%の電気は火力発電で作られているのです。(参照2)

火力発電は、化石燃料を燃やして電気を作るので、発電時にCO2を排出します。火力発電で発電された電気を使用することで、EVに乗っていてもCO2排出をゼロにはできません。EVに充電する電気を作る際に、CO2を排出してしまう可能性があることから、EVの脱炭素はウソだと言われてしまうことがあります。

お客様

EVでも、CO2が排出された電気を使っていたらCO2を排出してしまうわね。CO2を出さない方法はあるの?

地球未来図

もちろんあります。太陽光発電などの再生可能エネルギーは、発電時にCO2を排出しません。太陽光発電などを自宅に導入し、発電した電気をEVに充電すれば、排出するCO2量を大幅に減らすことができるでしょう。

お客様

再生可能エネルギーとEVの組み合わせで、もっと脱炭素に貢献できるのね!

参照1:温室効果ガス低排出車両
参照2:資源エネルギー庁

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EV(電気自動車)とはどういう仕組み?

EVは、簡単に言えば電気だけで走る車です。通常のガソリン車は、ガソリンを燃やして車を走らせるのに対し、EVは電気の力で車を走らせます

EVの充電は、専用の充電スポットか自宅で行うことが可能です。専用の充電スポットは、ショッピングモールやスーパー、パーキングエリアなどに設置されており、専用スペースに駐車して充電器を車に繋ぐことで充電が可能になります。

自宅にEVを充電する設備があれば、自宅でもEVを充電することが可能です。自宅でEVを充電する場合は、専用の充電器かV2Hなどの設備が必要です。また、自宅に太陽光発電を導入している場合には、自宅で発電した電気をEVに充電することもできます。

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EV(電気自動車)の普及率は?

日本政府は、2035年までに新車で販売する車の100%をEVにするという目標を掲げています。では、2024年のEV普及率はどのくらいなのでしょうか?

2023年に日本自動車販売協会連合会に登録された新車の数(乗用車)は、2,651,397台でした。(参照3)対してEVは43,991台です。登録された台数を割合に直すとEVは約1.66%です。この割合だけを知ると、少ないと感じた方も多いのではないでしょうか。

ただ、株式会社KINTOが2023年に行ったアンケート調査によると、次に車を買い換えるときにEVを選びたいと考えている人の割合は34.4%でした。(参照4)日本政府の政策に加え、環境に対する意識が高い人が増えていることにより、今後はEVの販売台数や普及率は上がっていくことが予想されます。

参照3:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会
参照4:株式会社KINTOの調査

EV(電気自動車)の種類

脱炭素の助けとなる自動車として、EV以外にもHEVやPHV、FCEVなどがあります。EVは、厳密にいうとHEVやPHV、FCEVも含んでいる用語です。電気自動車は「BEV(バッテリー式電動自動車)」と呼ばれます。

お客様

英語ばかりで、似たものが多くて何だかよくわからないわ…

地球未来図

電気自動車関連のEVに加え、ディーゼル車、ガソリン車の特徴を以下にまとめてみました。

BEV(電気自動車)・電気のみで走行できる
・充電が必要
・走行中にCO2がでない
HEV(ハイブリッド自動車)・電気とガソリンで走行する
・充電が不要
・ガソリン車に比べるとCO2排出量は少ない
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)・電気とガソリンで走行する
・充電が可能
・走行中に充電もできる
・ガソリン車に比べるとCO2排出量は少ない
FCEV(燃料電池自動車)・水素を燃料として走行する
・走行には水素の補給が必要
・走行中にCO2を出さない
ディーゼル車・軽油で走行し、燃費がいい
・ガソリン車に比べるとCO2排出量が少ない
ガソリン車・ガソリンで走行する
・走行中のCO2排出量が多い

表を見るとわかる通り、BEV(電気自動車)以外にもハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車などCO2排出量を減らせる自動車があることがわかります。EVの違いを知り、車を買い替えるときには、電気自動車に加え、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車などを候補に入れてみてくださいね。

日本のEV(電気自動車)普及率

先述した通り、2023年のEV登録台数は約1.66%でした。EV以外のHEV・PHEV、FCEVの登録台数は、下記の表の通りです。(参照5)

表を見るとわかる通り、EV・HEV・PHEVは2022年に比べて新車登録台数が増えています。日本全体で環境に対する意識が上がったことに加え、燃費の良さや燃料の安さなどから、EVに関心を持っている人が増えています。

EVの普及には、まだ本体価格が高いことや、充電場所が少ないなどの課題があります。しかし、近年は日本政府や企業の努力もあり、EVの本体価格の導入費用が安くなっていたり、EVの充電場所が続々と増えていたりします。あと10年も経たないうちにEVが当たり前の時代が来るかもしれません。

2022年2023年
BEV約1.42%約1.66%
HEV約48.98%約55.07%
PHEV約1.7%約1.96%
FCEV約0.04%約0.02%

参照5:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会

海外のEV(電気自動車)普及率

日本は、まだまだEVの普及率が高いとは言えない状況ですが、海外はどうでしょうか。

日本を含めた主要11カ国で2023年に販売されたEVの割合は19.5%でした。(参照6)世界的に見ると、日本は他の国に比べてEV販売率が少ない傾向にあります。(HEV・PHEV・FCEVは含みません)

アメリカは、新車販売台数に対してEVのシェア率は7.6%です。アメリカも前年に比べてEVの販売台数が増えており、環境意識が高まっていることがわかります。(参照7)

欧州では、EVの新車販売率は全体の14.6%で、アメリカや日本に比べるとかなり多いことがわかります。(参照8)欧州は世界的に見ても環境意識が高い人が多く、環境意識に役立つものの購入頻度が高い国です。

参照6:電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売月報 2023年12月
参照7:Cox Automotive Inc.
参照8:Jetro

EV(電気自動車)のCO2削減効果は?

EVは、ガソリン車に比べて52%のCO2排出量を削減できます。(参照9)ただ、EVが実際にどのくらいのCO2を削減しているかを計算するためには、燃費と走行距離、単位発熱量などを活用して計算する必要があります。

EVのCO2排出量を数値で表すためには、製造時のCO2排出量や使用する電気の発電方法、輸送時のCO2排出量を特定しなければいけません。燃費や走行距離などは、EVの車種や車の使い方によって変わり、一概に数値として示すことができないのです。

ただし、EVがガソリン車に比べて脱炭素に貢献する自動車だということは確かです。ガソリン車は、走行しているときに確実にCO2を排出しています。また、ガソリンの元となる石油は限りある資源です。限りある資源を使用し、CO2を排出しているガソリン車に比べると、EVは環境にやさしい自動車だと言えるでしょう。

また、太陽光で発電した電気でEVを充電することで、より環境にやさしい方法で自動車に乗ることができます。さらに、ガソリンを必要としないEVは、限りあるガソリンを消費しない点も環境にとってメリットが大きいと言えます。

参照9:温室効果ガス低排出車両

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EV(電気自動車)の導入例

2024年現在、EVは企業にも多く導入されはじめています。スーパーなどの公共施設では、EVの充電ステーションが増えています。今回は、EVを取り入れているヤマト運輸と、充電ステーションの設置を進めているイオンの取り組みを紹介します。

ヤマトグループでは、独自に「2050年温室効果ガス(GHG)自社排出量実質ゼロ」、「2030年GHG自社排出量48%削減(2020年度比)」の目標を元にEVの導入を進めている途中です。EVの導入以外にも、再生可能エネルギーの電気の活用などを行っています。

ショッピングモールとして各地に点在するイオングループでは、EVの充電ステーションをイオン駐車場に順次配置しています。EVの充電は、ガソリンとは異なり、充電に30分から数時間程度の時間が必要です。EVの充電がないからといって、外出先で30分以上充電を待っているのは大変ですよね。イオンなどのショッピングモールにEVの充電器が設置されれば、買い物をするついでにEVの充電が可能です。

ヤマトグループやイオングループ以外にも、脱炭素に向けてEV関連設備を導入している企業が多くあります。今後、EVの台数は今よりも増えていくことが予想されます。EVの普及に伴い、EV関連設備を導入する企業は今後も増えていくでしょう。

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EV(電気自動車)がなくても脱炭素に貢献するには?

EVが環境にやさしく、脱炭素に貢献できると分かっていても、いますぐに車屋さんに行ってEVを購入するのは現実的ではありません。また、EVは他の自動車に比べて価格が高く、手に届きにくいのが現状です。

いますぐEVに乗り換えることができなくても、日常生活の小さなことで脱炭素に貢献できます。最後に、日常的に脱炭素に貢献できる方法を3つ紹介します。3つとも今すぐに実践できるので、ぜひこれから意識してみてくださいね。

公共の交通機関を使う

ガソリン車がCO2を排出するということは、ガソリン車を使わなければ移動にかかるCO2の排出を減らすことができます。ただ、徒歩圏内に商業施設がたくさんない限り、徒歩で移動するのは現実的ではありませんよね。

そこで、車ではなく電車を活用してみましょう。少しでも車を使わずに生活することで、ガソリン車が走行中に出すCO2を削減できます。また、電車を活用すれば徒歩での移動も増えて、自動的に運動ができます。健康的に暮らすためにも、無理のない範囲で電車の活用頻度を増やしてみましょう。

自転車を使う

車以外の移動手段として、自転車を使用する方法もあります。自転車であれば、電車のようにお金もかかりませんし、徒歩よりも長い距離を移動できます。さらに、移動中はずっと自転車を運転しなければいけないので、よい運動にもなるでしょう。

もちろん、全ての移動を自転車に変える必要がありません。できる範囲内で自動車から自転車に移動手段を変更することで、CO2の削減に貢献することができます。

地元で生産された食品を買う

近所で生産された食品を購入することも、脱炭素のためのCO2削減に役立ちます。私たちが普段購入しているものは、全てのモノがどこかで生産され、スーパーやショッピングモールなどの販売店に届きます。

物流に使用されるトラックなどの車は、まだガソリン車が多く、走れば走るほどCO2を排出します。商品が販売店に届くまでの距離が長いほど、CO2排出量が多くなってしまうのです。

しかし、自宅近くの地元で取れた野菜や、近くで生産されたものを購入することで、物流によるCO2排出量が少ないモノを購入することができます。日常の買い物を地元産の商品が売っている道の駅や直売所にしたり、自分で野菜を栽培して買い物を減らしたりすることで、脱炭素に貢献できます。

電車や自転車の利用と同様に、無理のない範囲で脱炭素を意識してみることで、少しでも地球温暖化防止に役立つことができます。

脱炭素社会にむけてEV(電気自動車)を利用しよう

EVは、脱炭素を実現するためのCO2の削減に役立ちます。走行中にCO2を出さないEVは、環境にやさしい移動手段として、今後どんどん普及していくことが予想されます。

今後、日本でもEVが「当たり前」になる時代が来るでしょう。今、無理にEVに乗り換える必要はありませんが、次に車を買い換えるときにEVの購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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