VPP(仮想発電所)の海外事例①アメリカの一般家庭に広がる理由

アメリカは仮想発電所(バーチャルパワープラント・以下VPP)の先進国です。

とくに「一般家庭・住宅用セクター」が参加したVPPの普及は2026年現在世界で最も進んでいる国と言ってもいいでしょう。

日本でもVPPを搭載した太陽光システムや蓄電池の普及は少しづつ始まっていますが、アメリカに比べると市場規模はまだかなり小さく一般的ではありません。

この記事では、アメリカ全土でVPP事業を展開している企業の具体的な事例を詳しく紹介します。

この記事を読むことで、アメリカでVPPが広がったきっかけや、そのビジネススキーム利用者への報酬(インセンティブ)、そして現在までにどのような実績が出ているのかを知ることができます。

化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーへシフトすることの重要性は、すでに十分すぎるほど語られています。さらに、2026年に入ってからのさらなる世界的な燃料危機により、私たちの生活はより大きく混乱しています。電力を安定した価格で確保することは、AIやDXといった近年のビジネストレンドよりもさらに深いところで、あらゆるビジネスの根底を揺るがす死活問題となっていくでしょう。

アメリカやドイツなどのVPP先進国では、すでに中規模の火力発電所と同等の電力をVPPでまかなうステージに到達しており、日本でもこれを参考に様々なVPPプロジェクトが拡大していくでしょう。本記事を通じて国外の先行事例を知り、今後の業界動向を予測する上での参考にしていただければ幸いです。

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目次

日本と世界のVPP市場を比較する

世界のVPP市場は劇的なスピードで成長しています。

ある市場調査会社の報告によると、世界のVPP市場規模は2025年に55億米ドルと推定され、2026年には67億米ドルに達すると予測されています。

さらに市場は今後も年平均成長率(CAGR)21.9%で急拡大を続け、2035年には395億米ドルに達する見込みです。この世界的な急成長を圧倒的なシェアで牽引しているのがアメリカです。

一方、日本のVPP市場はまだ成長の初期段階にあります。

日本では近年、テスラや国内のエネルギー企業(アグリゲーター)が、家庭用蓄電池などをIoTで遠隔・自動制御するVPPを商用稼働させ始めました。しかし、それらはまだ地域単位の取り組みが多く、国内トップクラスのプロジェクトでも数メガワット(MW)〜数十メガワットのクラスにとどまっています。

対するアメリカでは「単独の民間企業がギガワット(GW:1GW=1000MW)単位のVPPを管理する」という、日本の数十倍から数百倍の規模ですでに市場が成立しています。人が手動で節電するのではなく、数万〜数十万の家庭の蓄電池やスマート家電をAIが「自動制御」し、原子力発電所にも匹敵する巨大なインフラとして電力網に組み込んでいるのです。

このように、日本でも本格的な実用化は始まっているものの、アメリカとは規模や普及フェーズにおいて圧倒的な差があるといえるでしょう

参照:GMIテスラ公式プレスリリース

合わせて読みたい記事:カーボンニュートラルの具体例を教えて!国内・海外の事例10選

VPPの基礎知識

VPPとは、電力会社や事業者が、企業や家庭の太陽光発電や蓄電池、EVなどを通信技術で遠隔管理し、需給バランスに応じて動かす仕組みのことです。

こうして余った電気(または蓄えられた電気)をVPP事業者がネットワーク上で束ねて管理することで、発電所に匹敵する巨大な電力をあつめ、社会の電力網へと供給することができます。

VPPのメリットの一つ目は「本来なら無駄になるはずだった電力を、電気が足りない時間帯に有効活用できること」です。

もう一つは、VPPが連携する機器は主に太陽光設備や蓄電池であるため(企業や大型の工場なら風力なども含まれる環境負荷の高い火力発電をわざわざ動かす代わりに、クリーンな再生可能エネルギーを使って電力をまかなえる点にあります。

化石燃料の価格が高騰している今、こうしたクリーンエネルギーの無駄のない活用がビジネスシーンで注目されるのは当然ですね。

VPPの詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

VPP(仮想発電所)は広まるのか?2026年の実情と未来の在り方を考える

では、アメリカの詳しい事例を見ていきましょう。

米国最大級のVPP事業者「Sunrun」の事例

VPP先進国のアメリカにおいて、特に住宅用のVPP領域で圧倒的なシェアと実績を誇るのがSunrun(サンラン)社です。この会社のVPP事業について詳しく見ていきましょう。

事例:Sunrun社のVPPが広まったきっかけ

Sunrun社は、2007年にサンフランシスコで設立されたクリーンエネルギーのベンチャー企業で、国や地域の電力会社ではありません。

この会社は初期費用ゼロで一般家庭に太陽光パネルを設置し、発電した電気を定額で販売する「Solar-as-a-Service」というビジネスモデルを米国で初めて構築しました。

地球未来図

初期費用ゼロの太陽光設備は今は日本でも一般的ですね。

Sunrun社がVPPとして本格的に動き始めたのは、2019年のハワイの電力網向けプロジェクトや、2020年の南カリフォルニア・エジソン社(SCE)という大手電力会社との提携がきっかけです。なお、SCEは日本でいうと東京電力や関西電力のようなポジションに当たる企業です。

これらのプロジェクトでは、まず大前提として猛暑(ヒートウェーブ)や山火事などの、厳しい気象条件によって電力需要が跳ね上がった際に大規模停電を防ぐという目的がありました。

同時に電力需要のピーク時には、高コストで環境汚染度の高い旧式の火力発電所を稼働させていたのですが、これに代わるエネルギーとして、家庭用蓄電池を繋いてつくられたVPPを活用する必要がありました。

事例:Sunrun社のVPPの実績

現在、米国9つの州と地域にわたる16のVPPプログラムにおいて、20,000世帯以上のSunrun顧客(一般家庭)が参加しています。

2024年の実績で米国全土で同社のVPPプログラムが供給した電力は、瞬時最大で「約80メガワット(MW)」というピーク容量(瞬発的な電力供給力)に達しました。これは、従来の中規模なガス火力発電所がフル稼働した時の発電能力に匹敵あるいはそれを上回る規模です

この結果としてSunrun社は「地域全体の電気料金を下げ、電力網を安定させることができています。

ピーク容量とは

電力網には「需要と供給の量を常に一致させなければならない」という大原則があります。大規模な停電が起きるのは、真夏の夕方など、1日の中で最も電力が使われる数時間(ピーク時)に、瞬発的な供給力が追いつかなくなった瞬間です。

 VPPの価値は、この「いま、どうしても電気が足りない」という時に、数万台の家庭用蓄電池から一斉に電力を放出させ、新しい火力発電所を使うことなく、必要な瞬間だけ発電所と同等の巨大な電力をひねり出せる点にあります

参照:sunrun.com

事例:Sunrun社のVPPのシステム

Sunrun社で太陽光パネルと家庭用蓄電池を自宅に導入している一般家庭(住宅の所有者)をつないでVPPを構築しています。導入している家庭では、もちろん強制ではなく、ユーザー自身がプログラムに加入するかどうかを選びます。

つまりSunrun社の利用者は、日常的に何か操作や切り替えをする必要はありません

たとえば夏の夕方(午後4時〜9時)など、地域で最も電力が足りなくなる時間帯になると、Sunrun社のソフトウェアが各家庭の蓄電池を遠隔で自動制御し、電力網へ電気を送り出します。ちなみに万が一の停電時に備えて「蓄電池には常に最低20%の電力を温存する」安全機能が組み込まれており、利用者の生活を守りながら参加できる仕組みになっています。

Sunrun社のVPPの報酬

一般家庭のユーザーには、金銭での報償(インセンティブ)が支払われます。 

例えば、カリフォルニア州のプログラム「CalReady」では、貢献度に応じて、蓄電池1台につき年間で50~最大150ドル(1ドル=159円換算で約23,850円)の報酬がもらえます。

またテキサス州のプログラム「Texas GridReady」では、毎月の電気代から20ドルの割引がもらえます。

アメリカでは、電気代や売電のルールが日本とは異なりますので、この情報だけではどのくらい利用者にメリットがあるのかイマイチわかりづらいですよね。

そこで、日本とアメリカのスキームの違いを利用者のメリットごとに分かりやすく整理しました。

メリットの種類日本の場合アメリカ
① 電気代の削減太陽光で発電した電気を蓄電池に貯めて使い、電力会社からの購入量を減らす。自家消費)日本と全く同じ(自家消費)
② 余剰電力に価値を与える(売電・相殺)使いきれなかった余剰電力を電力網に流し、定められた単価で買い取ってもらう。FIT/卒FITによる売電)余剰電力を電力網に流すことでメーターを逆回転(相殺)させ、日常の電気代を実質ゼロに近づける。(ネット・メータリング(NEM))
③ VPP参加の報償(インセンティブ)遠隔制御に協力した対価として、PayPayポイントやAmazonギフト券などが継続的に支払われる。現金(小切手)での支払い、電気代割引による還元
補足VPP事業者が「電力会社(小売電気事業者)」を兼ねるケースが多いため「電気の購入」「②の売電」「③のVPP報償」をセットで『VPP専用電力プラン』として一括で処理・提供されることが多い。VPP事業者が利用者と地域電力会社の間に入り、利用者はVPPプログラムに一つ加入するだけで、②の相殺と③の割引が連携して適用される。

※日本はSBパワー社、テスラ社のスキーム、アメリカはSunrun社等のスキームを参考に表を作成

参照:sunrun.com/calreadysunrun.com/sunrun-customers-reliant-texas

地球未来図

日本では過去に売電価格42円/kWhなどの世界的にみても超高額な買取価格が設定されたこともあり、毎月1万円以上の売電収入が得られた時代もありました。

そのためパッと見では、VPPは利用者にとっては「リターンが少ないのでは」と思った人もいるかもしれません。

しかし、ほとんど停電が起きない日本と比べ、アメリカ、特にSunrun社が大きくサービスを展開するカリフォルニアやテキサスでは、大規模停電がよく起こるため、蓄電池を持っておきたいと考える家庭が日本に比べて多い市場の背景があります。そして蓄電池を購入するついでに、VPPに参加することで「おまけ」感覚で報酬をもらうという利用者が多いのです。

合わせて読みたい記事:脱炭素経営で中小企業が抱える悩み・排出量削減の限界と本当のゴール

日本でアメリカのVPP事例を活かせるのか?

では、日本でも同じような規模でVPPを拡大できるのでしょうか?

技術的には日本もすでに実用化のレベルに達しています。

また昨今のエネルギー高騰を受け、日本政府もVPP関連の事業を大きくサポートしていく方針があり、国としての優先順位も決して低くありません。さらに太陽光設備や蓄電池自体の普及も十分進んでいます。

それでもアメリカのような巨大VPPがすぐには生まれない背景には、以下のような事情があります。

日本では切迫度がやや低い

アメリカ(特にカリフォルニア州やテキサス州)でVPPが爆発的に普及した最大の要因は、頻発する大規模停電と電力網の脆弱さにあります。電力網が崩壊の危機にあるといっても過言ではなく、現地の電力会社がVPP事業者に頼らざるを得ないほど、VPPからの電力供給がなければピーク時の停電を回避できなくなっています。

一方、日本の電力網は世界トップクラスの安定性を誇ります。アメリカほど「停電を防がなければ」というインフラの切迫度が高くないため、利用者に還元できるVPPのインセンティブも、現状では「年間数千円分のポイント」程度に留まりがちです。

このように利用者にとっても参加のメリットはあまりないように感じられ、VPPの必要性はアメリカほど重要視されていなかったかもしれません。

地球未来図

しかし現在の石油の危機や電気代を含めたエネルギー価格の高騰を考えると、日本では災害対策ではなく、電気の値段を安定させ、私たちの生活やビジネスを守るためにもVPPの普及は緊急度が高くなっているという見方もあります。

「需給調整市場」の複雑なルール

日本とアメリカでは市場のルールが違い、日本のルールがVPP拡大を難しくしている側面もあります。

VPP事業者が家庭の電気を束ねてビジネスを行う「需給調整市場」ではアメリカ(FERC Order 2222)に比べ、「巨大な旧式発電所」を前提とした制度設計が色濃く残っています。

家庭用の小さな蓄電池を数万台束ねて市場で電気を売るときもしVPPの自動制御がなかったら、その家庭は本来、電力網からどれくらいの電気を買っていたはずか?」という数値ベースラインと呼ばれる想定の基準値)を、各家庭の過去のデータから1軒ごとに極めて厳密に計算し、証明しなければならないというルールがあります。

毎日決まった動きをする巨大工場とは違い、一般家庭の電気の使い方はバラバラで予測が難しいため、これを数万件規模で同時に処理して市場の審査を通すことは現状極めて困難です実現するには莫大なITシステム投資が必要となり、システム開発のコストに見合う収益化が難しいと企業は判断しています。

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ただし、この過剰に厳しいルールが市場成長のボトルネックになっていることは日本政府も問題視しており、直近では「1軒ずつの厳格な計測ではなく、数万件の統計的な推計でよしとする」といったルールの緩和(ベースライン要件の見直し)がようやく本格的に検討・段階導入され始めています。。

メーカーごとの「通信の壁」・連携がむずかしい

アメリカのSunrun社が数万台をスムーズに遠隔制御できるのは、ソフトウェアで様々な機器を一括管理する仕組み作りに特化しているからです。

一方、日本には素晴らしい蓄電池メーカーがたくさんありますが、各社が独自の通信規格(API)を使っています。そのため、VPP事業者がA社の蓄電池と、B社の電気自動車、C社のエアコン」を一つのシステムでまとめてコントロールしようとすると、それぞれの言語ごとに別々の翻訳システムを開発し、各メーカーと個別に交渉しなければなりません。この機器同士を連携させるためのシステム開発費と手間が日本でVPPが拡大するための足かせとなっています。

この対策として政府や業界団体が主導し、スマートホーム向けの共通通信規格である「ECHONET Lite(エコーネットライト)」などの普及が進んでいます。メーカーの垣根を越えて通信規格でやり取りできる環境が整いつつあります。

まとめ:電気の自給自足と最適化の時代へ

「今の電力網が、これからも今まで通りの価格で電気を安定供給し続けてくれる…」誰もが無意識のうちにそのように信じてしまうかもしれません。

しかし実際は、化石燃料の枯渇、軍事行動や紛争によるリスク、円安などの影響で、電気を電力会社から買い続けること自体が、一般家庭にとって致命的なコストになる時代がやってくるかもしれません。

日本でもアメリカのようにVPPの拡大が電気代の変動を少なくし、社会生活の安定に役立つことに大きな期待が寄せられています。

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