【2025】国内外の環境トピック10選|脱炭素・循環型社会の事例と最新動向

2025環境トピック

脱炭素や循環型社会の実現に向けて、世界中でさまざまな取り組みが進んでいます。
 

「地球未来図」では、これまで海外の最先端の挑戦から日本の自治体や企業のユニークな取り組みまで、実際の事例を丁寧に紹介する記事をシリーズで投稿しています。

各記事では用語解説だけにとどまらず、各テーマの現状の問題点や将来に向けての解決策まで中立的な立場で掘り下げてきました。

今回は、これらの記事の総まとめとして、以下のテーマを一か所にまとめました。

  • 脱炭素・再生可能エネルギー・GXグリーントランスフォーメーション
  • 循環経済・ゴミ、リサイクル問題
  • ネイチャーポジティブ
  • 都市開発、インフラ

普段は聞きなれない難しいテーマであっても、私たちの生活に直結する内容がたくさんあります。

この記事を最後まで読むことで、環境保護の分野でどんなことが起こっているのかを総合的に理解することができます。

また各テーマの事例詳細はの関連記事リンクも紹介していますので、一つ一つの事例を詳しく知りたい場合は、そちらをご覧ください。

目次

脱炭素・エネルギー分野

①カーボンニュートラルの取り組み

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて実質的にゼロにすることを目指す取り組みです。日本でも自治体や企業による再生可能エネルギーの導入や水素活用の実証実験が進んでいますが、海外でも先進的な事例が進められています。

ロンドンでは、自動車の排出規制区域(ULEZ)を設け、電気自動車など排気ガスのない車両を優遇する仕組みを導入し019〜2023年の間で80万トンものCO2の排出を削減という大きな成果を上げています。

日本企業では、イオン株式会社が大規模な取り組みを進めています。店舗の屋上に太陽光パネルを設置し、卒FIT電力の買い取りを強化することで、2030年までに店舗エネルギーの半分を再生可能エネルギーに切り替える計画です。さらに、個人向けの住宅・EV関連商品や金融サービスを提供し、家庭での排出削減も後押ししています。

さらに、こちらの記事では9つの詳しい取り組み事例と4つの個人レベルで取り組める事例を詳しく紹介しています。

合わせて読みたい記事: カーボンニュートラルの具体例を教えて!国内・海外の事例13選

②再生可能エネルギーの企業・自治体の取り組み

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など自然界に存在するエネルギーのことです。繰り返し使えるうえにCO₂を排出しないため、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスを減らす手段として注目されています。

近年は世界的に再エネ導入が加速しており、欧州では洋上風力や太陽光の拡大、北米では企業による自家消費型モデルの普及が進んでいます。日本でも、製造業や自治体が太陽光パネルの設置や再エネ電力の利用拡大に取り組み、脱炭素への貢献を強めています。

具体的には、海外の大手企業による店舗での再エネ利用や、鉄道会社による電力転換、日本の公共施設への導入など、多様な取り組みが進行中です。こうした動きは「企業や自治体がどのように再エネを取り入れているか」を理解する上で参考になります。

具体的な数値や成果を交え、以下の記事で国内外10つの事例を紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください。

合わせて読みたい記事: 再生可能エネルギー国内・海外企業、自治体の取り組み事例10選

③グリーントランスフォーメーション(GX)

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、経済成長と地球温暖化対策を両立させるために、社会や産業の仕組みを変えていく取り組みを指します。カーボンニュートラルや脱炭素を目指しつつ、持続的に経済を発展させていくことが大きな特徴です。

海外では、EUの「グリーンディール」やアメリカのインフレ抑制法(IRA)によって、再エネやEV産業への巨額投資が進み、GXが加速しています。

日本でも、政府がGX実行会議を開催し「GX2040ビジョン」を策定するなど、制度的な基盤づくりが進められています。さらに、経済産業省が推進するGXリーグには多くの企業が参加しており、温室効果ガス排出削減の目標を設定し、排出量取引(GX-ETS)を通じて達成を目指しています。

企業レベルでも、製造業の省エネ化や再エネ導入、水素燃料の活用などが進み、サプライチェーン全体での排出削減や効率化が求められています。GXは今後の経済と環境の両立を左右する重要テーマであり、政策と企業の両輪で進展が期待されます。

合わせて読みたい記事:グリーントランスフォーメーション(GX)事例|日本と海外の最新取り組みを紹介

循環型社会・資源活用の事例

④サーキュラーエコノミーの成功事例

サーキュラーエコノミーとは、資源をできるだけ捨てずに循環させて使い続ける新しい経済の仕組みのことです。限りある資源を守り、環境汚染を防ぐために、世界中で注目が高まっています。

従来の「使い終わったら廃棄する」という考え方ではなく、製品を修理して長く使ったり、分解して別の材料に再利用したりするのが特徴です。従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)をさらに発展させ、廃棄物をできるだけ出さないことを目指しています。

こうした仕組みは、環境への負荷を減らすだけでなく、新しいビジネスや生活の形を生み出す可能性も持っています。

さらに詳しくは、日本の企業によるストローや食品ロス削減の取り組み、シェアリングサービスなど、国内外の最新事例を紹介したこちらの記事をご覧ください。

合わせて読みたい記事: サーキュラーエコノミーの成功事例|日本と海外の最新取り組み6選

⑤プラスチック削減の国内外の取り組み

プラスチック削減が重要とされる理由は大きく3つあります。

  1. 原料となる石油などの資源に限りがあること
  2. 海に流出するごみが生態系や人間の健康を脅かすこと
  3. 使い捨て文化がごみの増加を招いていること

実は、世界のプラスチック生産量は2000年から2019年の間に2倍以上に増加しています。

お客様

最近では、テイクアウェイ容器や商品パッケージ、ホテルのアメニティなども紙パッケージがかなり増えているように感じていたけど?

地球未来図

現在、「脱プラスチック」化が世界中で急速に進んでいるため、次回の生産量調査では、増加スピードは緩やかになるかもしれませんね。

しかし、2040年になってもプラスチックがリサイクルされる割合はわずか6%という予測もあります。プラスチックを利用するのが当たり前となっている現在、削減は難しい課題です。

日本ではリサイクル率が高いといわれますが、その多くは「燃やして熱を回収する」サーマルリサイクルであり、モノとして再利用される割合は25%程度にとどまっています。つまり、本当の意味での循環にはまだ課題が多いといえます。

以下では、プラスチックの生産量や再生利用率の詳しいデータとともに、国内外企業の具体的な取り組みや目標を紹介しています。

合わせて読みたい記事:2025年に知りたいプラスチック削減の取り組み・日本、海外の具体事例

⑥アップサイクルの現状と可能性

アップサイクルとは、不要になったものにデザインや工夫を加え、元の製品よりも高い価値を持つ新しい製品に生まれ変わらせる考え方です。
 

例えば、古着をポーチやインテリア小物に作り替えることや、廃材を活用して家具を製作する取り組みがこれにあたります。

リサイクルが一度素材に分解して再利用するのに対し、アップサイクルは廃棄物を素材に戻さず新しい製品へと転換します。そのため加工エネルギーが少なく、創造性を活かした持続可能な方法として注目されてきました。

一方で、手間や追加コストがかかりやすいこと、大量の廃棄物処理には不向きであること、また「本当に環境改善に役立っているのか」という疑問が残るケースも課題です。特に企業によってはグリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)と捉えられる懸念もあり、消費者が正しく見極める視点が求められます。

海外では、フランスでの「反廃棄・循環経済法」やEUでの「修理する権利」のように、アップサイクルをある程度法律で義務化する体制づくりが進んでおり、今後は社会全体での普及が期待されています。

さらに詳しくは、国内外の事例を交えて課題と可能性を掘り下げた以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい記事: アップサイクルの現状・事例から問題点と可能性を考える

合わせて読みたい記事:グリーンウォッシュの実態とこれからー“サステナブル”の裏に潜む罠を知る

ネイチャーポジティブ・社会貢献の事例

⑦ネイチャーポジティブの取り組み

ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止め、さらに自然を回復へと導く考え方のことです。日本語では「自然再興」と訳されます。

これまでの環境保全は、汚染の削減や有害物質の排出抑制など、悪影響を抑えることが中心でした。しかし、それだけでは自然や生物の減少を食い止めることはできません。これからは「自然を増やす」段階へ移行する必要があります。

ネイチャーポジティブの実現には、日常生活や地域での小さな行動から、企業による大規模な仕組みづくりまで、多様な取り組みが求められます。

例えば、在来種の植栽や地域活動を通じて自然環境を回復させる個人の行動もあれば、再生型農業やリサイクルを取り入れたサプライチェーン整備といった企業の取り組みもあります。これらが積み重なることで、生物多様性を守り育む社会の基盤が築かれていくのです

さらに詳しくは、アメリカや欧州、アジアなど各国で進む具体的な事例を紹介した記事をご覧ください。

合わせて読みたい記事: ネイチャーポジティブの国内・海外取り組み事例6選

⑧サステナブル企業の国内外事例

サステナブル企業とは、環境・社会・経済の3つの側面に配慮した経営を行い、短期的な利益だけでなく長期的な持続可能性を追求する企業のことです。

2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されて以降、世界中でサステナブル経営が広がり、投資家からの注目も高まりました。日本でも脱炭素や資源循環への取り組みが進み、今では多くの企業にとって必須の経営戦略となっています。

具体的な取り組みとしては、再生可能エネルギー導入やリサイクルの仕組みづくり、働きやすい環境整備や多様性の尊重などが挙げられます。サステナブル経営では、社会貢献活動にとどまらず事業活動そのものに持続可能性を組み込む点が特徴です。

日本でも、大手だけでなく中小企業が新しいモデルを打ち出し、商品開発やサービスの形で環境・社会課題の解決に挑んでいます。こうした動きは消費者や投資家の評価にも直結し、持続可能な社会の実現を後押ししています。

さらに詳しい国内外の事例は、こちらの記事で紹介しています。

合わせて読みたい記事: サステナブルな企業事例・国内外で環境貢献度の高い活動から学ぶ

都市・インフラ分野の事例

⑨スマートシティ

スマートシティとは、情報通信技術や再生可能エネルギーを活用し、エネルギー効率や暮らしの質を高める都市づくりの取り組みです。
 

海外では北欧やシンガポールなどが先行し、都市全体で再エネやデジタル技術を組み合わせた街づくりを進めています。日本でも自治体が主体となり、地域エネルギーの最適化や防災対応を強化するプロジェクトが増えています。

スマートシティの事例は、住民の快適性だけでなく、脱炭素や災害対策の強化という点でも注目されています。

以下の記事では世界の最先端スマートシティの事例5つを紹介しています。

合わせて読みたい記事: スマートシティの事例まとめ・2025年に注目の世界の都市5選

⑩ゼロウェイスト

ゼロウェイストとは、ゴミを減らすのではなく、そもそもゴミを作らないようにするという考え方です。

2023年度の調査では、日本人1人あたりが1日に出すごみは約851グラムにのぼりました。焼却による環境負荷やマイクロプラスチックの影響もあり、ごみ削減は依然として大きな課題です。

日常生活では、パッケージゴミを出さないために、量り売りや詰め替え商品を利用したり、洋服や家具、家財道具が壊れた場合に修理をすることで、モノをゴミにせずに済みます。

しかし「量り売りのお店が近くにない」、「修理費用が高額」など、実際の日常生活に取り込むには現実的でない場合もあり、現代社会において「完全にゴミを出さない生活」をするのは、とても難しいのが現実です。

ゼロウェイストを実現するには、個人の努力だけでなく社会全体の仕組みづくりが欠かせません。レジ袋有料化のように、国や自治体が包装の簡略化や再利用、修理の義務化など制度化することが、大きな効果をもたらします。。一方で、私たちが日常の選択を変えることで企業の行動を後押しすることもできます。

さらに詳しい国内外の取り組みは、こちらの記事で解説しています

合わせて読みたい記事: ゴミを減らす方法はないのか? ゼロウェイストに向けた現実的な選択肢

まとめ|事例から学ぶ未来へのヒント

国内外の事例を見てきたように、カーボンニュートラルや再生可能エネルギーの導入、循環型社会の実現、自然との共生、そして都市インフラの進化まで、環境分野の取り組みは幅広く広がっています。

これらの事例は、単なる環境対策ではなく、企業の競争力強化や地域の魅力向上、そして市民の生活の質の向上にも直結しています。つまり、環境と経済、暮らしを同時に前進させることが可能であるということを示しています。

私たち「地球未来図」では、“これからの環境問題”に向き合うための情報として、脱炭素・ネイチャーポジティブ、そして太陽光発電の知識をわかりやすく紹介しています。

太陽光発電は、環境にやさしいだけでなく、電気代の削減や補助金の活用といった、家計にもメリットのある選択肢です。

「環境にいいこと、何か始めてみたい」そんな方は、ぜひ「ピタエネのひみつ」をご覧ください。

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