森林伐採や地球温暖化により地球の生態系はかつてないスピードで危機に陥っています。生物多様性の損失は世界経済や私たちの生活に悪影響を与える深刻な問題です。
この問題を解決するために、近年「ネイチャーポジティブ」の考え方が国際的に注目されています。ネイチャーポジティブは、自然を増やして生物多様性を回復させる考え方です。
本記事では、日本と海外におけるネイチャーポジティブの取り組み事例を6つ紹介します。
この記事を読むことでネイチャーポジティブとはどのような取り組みでなぜ重要なのかがわかるため、ぜひ参考にしてください。
ネイチャーポジティブをわかりやすくいうと
ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止めて、回復させていくことを目指す考え方です。日本語訳で「自然再興」と呼びます。
これまでの環境保全活動は、川に汚水を流さないようにする、工場で発生する有害物質を大気中に放出しないようにするなど自然への悪影響を減らすことが中心でした。しかし、それだけでは地球全体の自然や生物は減り続けてしまいます。
現在の地球は過去1,000万年間の平均と比べて、10倍~100倍もの速度で生物が絶滅しているマイナスの状態にあります。
そこで、自然を積極的に「増やしていく」段階に移行しようというのがネイチャーポジティブの考え方です。ネイチャーポジティブの考え方は2020年9月に開催された国連生物多様性サミットで生まれました。
その後、2021年6月にイギリスで開催されたG7サミットでネイチャーポジティブという言葉が国際的に使われるようになっています。
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ネイチャーポジティブのゴールは
日本では2023年にネイチャーポジティブのゴールを明確に定めました。2023年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」では、2030年までにネイチャーポジティブを達成する目標が掲げられています。(参照1)
また、ネイチャーポジティブの国際的なゴールは2022年12月にカナダで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において定められました。2050年までに「自然と共生する世界」にすることをビジョンに掲げています。
このビジョンを実現させるために、2050年までに自然生態系の面積を大幅に増やす、すべての種の絶滅率およびリスクを10分の1に削減するなどを国際的なゴールとして定めました。
また、2050年のゴールに向けて2030年までに達成すべき目標も決められています。中でも重要な目標は、「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」です。30by30目標は、2030年までに陸と海の30%以上を保全することを目標としています。(参照2)
日本もこの目標を達成するために、取り組みを進めています。
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ネイチャーポジティブな企業とはどんな企業?
ネイチャーポジティブな企業とは、自社の活動が自然環境や生物多様性に与える影響を深く理解し、その負荷を減らすだけでなく、自然の回復にも積極的に貢献する企業のことです。
日本ではネイチャーポジティブな企業を増やしていくために、「ネイチャーポジティブ宣言」の表明を呼びかけています。ネイチャーポジティブ宣言とは、日本政府が掲げているネイチャーポジティブの基本戦略に該当する方針を含めた企業の取り組みを自由なネーミングで宣言することです。
ネイチャーポジティブの基本戦略には以下の5つがあります。(参照3)
- 生態系の健全性の回復
- 自然を活用した社会課題の解決
- ネイチャーポジティブ経済の実現
- 生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動
- 生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進
企業が表明した宣言は、ネイチャーポジティブ宣言のポータルサイトに掲載されます。環境省によると、2024年2月時点ではネイチャーポジティブ宣言の登録状況は十分とはいえない状況であることが示されています。
ネイチャーポジティブへの取り組みが広がるためには、企業や団体の取組方針について個人である私たちも知る必要があります。
お客様ネイチャーポジティブを実現するにはどのようなことに取り組めばいいのかしら?



わかりやすいものだと植林や河川の清掃などが挙げられます。ここからは国内外の取り組み事例を通じて具体的に何をしたらよいのか紹介していきますね
参照3:環境省
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ネイチャーポジティブの国内事例3選
まずは、ネイチャーポジティブに取り組む国内の企業や自治体などの事例を紹介します。
①SATOYAMAイニシアチブ(環境省)
環境省は里地里山のように人々の農林水産業で維持されてきた自然環境を保全し活用することを目的とした取り組みの「SATOYAMAイニシアチブ」を国際的に推進しています。(参照4)
日本だけでなく世界中にある里地里山のような地域での保全活動や成功事例を収集・分析して、Webサイトや出版物を通じて世界に共有しています。これまでのノウハウを参考にすることで、自然環境の保全に取り組みやすくするのが狙いです。
SATOYAMAイニシアティブは、生物多様性の保全と、資源の持続可能な利用、そして地域社会の活性化を同時に実現するための重要なアプローチとして、国際的に広がり始めています。
参照4:環境省
②エコロジカル・ネットワーク(東京都)
東京都はエコロジカル・ネットワーク(緑のネットワーク)を形成する取り組みを進めています。
エコロジカル・ネットワークとは、緑地や公園などの生物が住める場所が緑でつながれている状態のことです。生物が自由に移動できる場所が増え、豊かな生態系を保ちやすくなります。都市で分断された緑地をつなぐ緑の回廊もエコロジカル・ネットワークの一つです。
緑のネットワークを広げるため、東京都は2020年度から2030年度末までの11年間で、都立公園を130ヘクタール開園する計画を立てています。(参照5)また、地域や市民と協力して、公園を生き物が生息しやすい環境に整備する取り組みも行っています。
他にも、地域の緑地化を支援するために、ホームページでどこに緑を作り、どの緑を保全すれば緑のネットワーク化が進むのかを示したエコロジカル・ネットワークマップを公開しています。
参照5:東京都
③瀬戸内Kirei太陽光発電所(清水建設株式会社)
清水建設株式会社は、岡山県瀬戸内市で太陽光発電所開発と生物多様性保全を両立させた瀬戸内Kirei太陽光発電所を建設しています。
塩田として使用されていた約500haを開発し、敷地の約46%を生物多様性空間「錦海ハビタット」として整備しました。(参照6)「錦海ハビタット」では既存のクリーク(水田の用水路や排水路)をつなげて湿地を再生しています。
残りの敷地ではメガソーラーによる太陽光発電を行っており、地球環境にやさしい再生可能エネルギーの導入にも貢献しています。
参照6:清水建設株式会社
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ネイチャーポジティブの海外事例3選
ここではネイチャーポジティブの海外事例を3つ紹介します。
①ダノン(フランス・全世界)
ダノンはヨーグルトで有名なフランスに本社を置く食品メーカーです。「BIO」や「DANONE」などの乳製品は日本の小売店でも見かけることがありますよね。
ダノンはフランスで農家と協力して再生型農業により土壌の健康を改善し、水の利用効率を高める取り組みを進めています。
また、環境を保護するために2030年までに生産拠点の100%で水の削減、再利用、リサイクル、再生利用を実施することを目指しています。使用する水を削減し、廃水を浄化して再利用することで、2015年と比較して水の損失を半減させる予定です。
参照7:DANONE
②垂直の森(イタリア)
イタリアの建築家ステファノ・ボエリは、建築物の各階に木を植えて人と他の生物種が共存できる「垂直の森」と呼ばれる家を建設しています。
ミラノで建築された高層住宅では、各階に配置されたバルコニーに植物が植えられており、建物の3階以上でも大きな木が成長できるように設計されています。80mと112mの高層住宅2つに植えられた樹木の数は、なんと合計800本です。これは30,000㎡の森林に相当します。
垂直の森は緑のカーテンによる冷却効果や、CO2の吸収など環境的なメリットも注目されています。
参照8:BOERI
③オーシャンクリーンアップ(オランダ)
オーシャンクリーンアップはボヤン・スラット氏によって設立されたオランダの非営利団体です。スキューバダイビングの際に、プラスチックによる海洋汚染を目の当たりにしたことがきっかけで、海からプラスチックを取り除くために活動を始めました。(参照9)
長年にわたる研究開発を経て、海に到達する前に川でプラスチックを回収する技術と、すでに存在するプラスチックを取り除く技術を開発しました。
これらの技術を活用して、2024年時点で総計1000万kg(エッフェル塔とほぼ同じ重さ)のごみを除去しています。
オーシャンクリーンアップは、2040年までに浮遊する海洋プラスチックを90%削減することを目標として活動を続けています。
参照9:The Ocean Cleanup
参照10:The Ocean Cleanup
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各国のネイチャーポジティブの取り組み
ここでは、日本以外の各国でのネイチャーポジティブの取り組みについて紹介します。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国は2021年にネイチャーポジティブに関する「America the Beautiful(美しいアメリカ)」構想を発表しました。
この構想では、2030年までに米国の陸地および水域の30%を保全・回復すること(30by30目標)を掲げています。漁師、牧場主、農家、森林所有者による自発的な保全活動の支援や恵まれない地域での公園建設の支援などの取り組みを進めています。
参照11:U.S. Department of Agriculture
イギリス
イギリスは「ネイチャーポジティブ2030」と「生物多様性ネット・ゲイン(Biodiversity Net Gain)政策」を発表しています。
ネイチャーポジティブ2030は、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復させるための優先行動です。(参照12)2021年9月に発表され、ネイチャーポジティブを達成するための方法について述べています。
生物多様性ネット・ゲイン(Biodiversity Net Gain)政策は、住宅・商業・工業などの新規開発において、生物多様性を開発前より10%増加させることを義務付ける政策です。(参照13)自然を増やすことを義務化して、自然環境の創出と維持を促進させています。
フランス
フランスは国立生物多様性戦略2030(Stratégie Nationale pour la Biodiversité 2030)とエコフィト2030戦略(Écophyto 2030)を掲げています。
国立生物多様性戦略2030は、2030年までに生物多様性の損失を逆転させるための200の行動を示したものです。2023年11月に発表され、湿地の国立公園の設立や10億本の植樹などが行動として挙げられています。(参照14)
エコフィト2030戦略は、農業における農薬使用を削減し、生物多様性を保護するための国家的な取り組みです。2011年から2013年の3年間の平均と比較して、2030年までに農薬の使用と農薬によるリスクを 50%削減する目標を設定しています。(参照15)
参照14:Office Français de la Biodiversité
参照15:Ministère de l’Agriculture et de la Souveraineté alimentaire
中国
中国は2021年10月に生物多様性保護に関するガイドラインを発表しています。ガイドラインでは、2025年までに国土の18%を保護地域とし、森林でおおわれる面積の割合を24.1%に引き上げることを掲げています。
2035年までには、森林の面積は26%、草地の面積は60%、保護される湿地は60%まで引き上げる計画です。
参照16:ENGLISH.GOV.CN
シンガポール
シンガポールはシンガポールグリーンプラン2030(The Singapore Green Plan 2030)と国家生物多様性戦略(National Biodiversity Strategy)を公表しています。
シンガポールグリーンプラン2030では、都市全体を自然と調和させることを目的として、緑地の拡大や生物多様性の保全、公園の整備を推進しています。
国家生物多様性戦略は、シンガポールの生物多様性を保全し、持続可能な開発を推進するための国家的な戦略です。生物多様性に富んだ地域であるチェック・ジャワの保護や生物多様性に関心のあるグループを通じてたボランティア活動の促進などに取り組んでいます。
参照17:Singapore Green Plan 2030
参照18:National Parks Board
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ネイチャーポジティブな活動とは
これまでの事例をふまえて、ネイチャーポジティブな活動とはどのような取り組みなのか具体的に紹介します。個人、自治体、企業で取り組めるネイチャーポジティブな活動を以下にまとめました。
| 個人 | ・自宅の庭やベランダでネイティブプラント(在来種)を植えることで、昆虫や鳥などの生息地を提供する ・地域の植樹活動や河川清掃、自然保護団体のボランティア活動に参加する ・プラスチック製品ではなく、紙製品を使う |
|---|---|
| 自治体 | ・地域の緑地化を進めて緑のネットワークを作る ・ネイチャーポジティブ型の再生可能エネルギーを導入する ・ネイチャーポジティブな取り組みについて企業や市民に啓発する |
| 企業 | ・持続可能なサプライチェーン(原材料の調達から製品の販売までの流れ)を構築する ・化学肥料や農薬に頼らない再生型農業を行う ・製品のライフサイクルを適切に管理し、できる限り再利用(リサイクル)する |
太陽光発電のような再生可能エネルギーはCO2を排出せずに発電できるため、地球温暖化による生態系への悪影響を抑えられます。ただし、導入の仕方によっては生物多様性にマイナスの影響を与える場合もあるため注意が必要です。
たとえば、森林を伐採して建設するメガソーラーが挙げられます。メガソーラーは再生可能エネルギーを大量に導入できますが、広大な敷地を開発しなくてはならないため、生物の生息地を減らしてしまうケースがあります。
再生可能エネルギーを導入する際は、敷地内に生物が生息できる環境を作りながら太陽光発電を行うネイチャーポジティブ型の発電所を作ることが重要です。
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ネイチャーポジティブの関連用語
ネイチャーポジティブには関連するさまざまな専門用語があります。よく使われる以下の関連用語の概要を紹介します。
| 関連用語 | 概要 |
|---|---|
| 自然資本 | 森林や水、土壌など自然によって構成される天然資源を企業活動に重要な資本として捉えること |
| エコシステム回復 | さまざまな動植物が互いに影響し合いながら維持している生態系を正常な状態に回復させること |
| グリーンインフラ | 自然環境が持つ機能を社会におけるさまざまな課題解決に活用する考え方 |
グリーンインフラはネイチャーポジティブの一環として環境省が推奨している取り組みです。(参照19)地域のまちづくりにグリーンインフラを取り入れる動きが進んでいるため、覚えておきましょう。
参照19:環境省
まとめ:ネイチャーポジティブを広めよう
ネイチャーポジティブは失われていく生態系を保護し、生物多様性を回復させていくための重要な取り組みです。まちの緑を増やしたり、河川のごみを取り除いたりして人間以外の生物も暮らしやすい環境を作ります。
国内外の企業や自治体がさまざまな活動を行っていますが、まだまだネイチャーポジティブの取り組みは広く普及していないのが現状です。日本全体でネイチャーポジティブを達成するためには、企業だけでなく、私たち個人も取り組みに参加することが大切です。
自宅の庭やベランダに緑を増やす、屋根に太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーを導入するなどの取り組みを始めてみましょう。
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