2025年は『AI元年』とも言われ、私たちの生活や仕事の中に本格的にAIが浸透をはじめました。
AIは今後日常生活の中で当たり前の存在になっていくと考えられますが、それに伴ったデメリットも気になりますよね。
「人間の仕事が奪われる」、「情報漏洩のリスク」、「なりすまし詐欺がよりやりやすくなる」といったAIのデメリットがよくニュースなどで取り上げられているかもしれませんが、実はもっとも懸念すべきデメリットは「電力不足」です。
AIを作る、使う、アップデートし続ける…というすべての段階で、実はこれまでになかった大量の電力消費が必要になります。
例えば、あなたがAI生成で面白い動画を作りたいと思い、10秒程度の動画生成をAIで生成した場合は、約20〜200Wh(ノートPCを約半日使う電力量)の電力を使うこともあります。
(※詳細状況により電力量は変わります。記事内で詳しく解説していきます)
お客様それって、つまりどういうこと



家にある電化製品や電気の使用量がふえてしまうの?



いいえ。
あなた個人の電気使用量はかわりませんが、AIを動かしている巨大なコンピュータ(データセンター)側で、これまでの常識を覆すほどの電力が必要になっているのです。
今、Google社やMicrosoft社のような世界の巨大テクノロジー企業では、電力確保とそのための設備投資がとても重要な課題になっています。またアメリカやイギリスなどでは原子力発電を活用して、電力不足に対応することも検討されています。



えっ!そんなことになっているの?
はい。今回、地球未来図では、
- AIと電力不足の関係
- AIで電力不足を減らせるケースと増やしてしまうケース
- AIの電力不足はグローバルな社会問題である
という3つの点を中心に、この件を掘り下げていきます。
最後まで読むと、AIと電力問題の全体像が分かり、これからの社会の動きを考えるきっかけにもなりますので、ぜひご覧ください。
なぜAIは電力を多く使うのか
AIが電力を多く使う理由は大量のデータをもとに複雑な計算を高速で繰り返す必要があるからです。



それは知っているけど、それだけで電力の使用量がそんなに違うの?
より具体的に考えてみましょう
生成AIが電気を多く使う原理
『AIとは何か?』とGoogleで検索したとします。
これまでの技術では、Googleがこの検索に関連しているページを探して順番に表示してくれていました。この時、検索 1回あたりの電力量はおおよそ0.01〜0.05Wh程度と推定されています。
これに対して、『AIとは何か?』とChatGPTに聞いてみましょう。
この場合に、ChatGPTの大規模モデルが文章を1語ずつ生成し、数十〜数百回の計算を繰り返し、回答を作成します。 1回あたり約0.5〜3Wh程度になります。





生成AIの方が10倍以上の電力を使うこともありうるのか
ここで注意なのですが、実際には生成AIは常に「全部を計算している」わけではなく、過去に生成された回答の再利用軽量モデルとの使い分けをし、消費電力を減らしていますので、毎回必ず同じだけの電力が必要というわけではありません。
これは原理を説明するための一例と考えてください。
AIのタイプ別の電力消費量
さらに細かくどんなAIがどのくらいの電力を使うのか見ていきます。
現在、私たちの日常生活で利用されているAIはChatGPTのような文章で回答を生成するAIだけでなく、さまざまなAIがあります。
そして、AIのタイプごとに使われる電力も異なります。
【AIタイプ別の電力消費量】
| AIのタイプ | 主な利用場所・用途 | 主な処理内容 | 電力目安(1回あたり) |
|---|---|---|---|
| 画像認識AI | スマホ顔認証、防犯カメラ、工場検査など | 画像から人物・商品欠陥などを識別 | 約0.001〜0.01Wh(豆電球数秒) |
| 音声認識AI | 音声入力、スマートスピーカー | 音声を文字に変換 | 約0.01Wh(LED電球数分) |
| 推薦AI | YouTube、ECサイト | 行動履歴からおすすめ表示 | 約0.05〜0.1Wh(自動ドア開閉1回程度) |
| 需要予測AI | 小売業者のシステム | 商品の需要の予測し仕入れを決める | 約0.05〜0.2Wh |
| 文章生成AI | ChatGPTでの質問や文章、テキスト生成 | テキスト生成 | 約0.5〜3Wh(ドライヤー数秒〜十数秒) |
| 画像生成AI | SNS投稿やネット広告などの画像作成 | 画像の生成 | 約5〜20Wh(ドライヤー30秒〜1分) |
| 動画生成AI | 10秒程度の動画生成 | 動画の生成 | 約20〜200Wh(ノートPCを約半日使う電力量) |
| 産業制御AI | 発電所、工場設備 | 異常検知、最適制御 | 数Wh〜数十Wh(1時間の利用) |
| 大規模AI学習 | 基盤モデル開発など | 更新を繰り返す学習 | 1回の学習につき、数万世帯の1日分 |
※数値は企業発表や研究報告をもとにした推計であり、実際の消費量は用途や規模、状況により異なります。
ここではAIと電気の使用量の関係を分かりやすく解説するため、AIの作業にどのくらいの電気が必要なのかの目安を示しています。



必要な電力にはAIの使い方によって、かなり違うんだね
そして、重要なことですが、この電力量は、あなたのパソコンやスマホが直接消費している電力の量ではありません。
AIは「データセンター」と呼ばれる施設で計算を行っており、ここで示している電力目安は主にそのデータセンター側で消費される電力です。



つまり、スマホでAIを使ったからといって、3Whの電力がスマホで必要なわけではないのね
データセンターについては記事の後半でさらに説明をしていきます。
大規模なAIの学習やAI開発には大量の電気が必要
AIを開発したり、改善したりするときには、AIの大規模な学習が必要になります。この学習には、数日から数か月もかかることもあり、使われる電気の量は一般家庭数万世帯が一日で使う電力量に匹敵することもあります。



大規模なAIの学習って、そもそも何をするの?
大規模な学習は以下のようなときに必要になります。
- 世界中の知識を取り込んだ、ChatGPTのような文章生成AIをつくる
- 画像や動画を作る新しいAIをつくる
- 大手企業が自分の会社独自のAIを開発する
- 大規模モデルのAIが再学習を行う
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再学習は、AIのアップデートの時に行われると考えていいでしょう。



なるほど!
Chat GTPのバージョンが4から5になるとき、再学習が必要なんだね



AIを使うことで省エネ家電を動かしたり、電気を効率的に利用できるのだと思っていたけど…
AIを作る時には、大量の電気が使われているのね。



はい。AIの進化で節約できる電気もあります。
実は、一般的な企業や家庭で使う電力は急激に増えているわけではありません。
AIの普及による電力不足で特に深刻なのは、「大規模AI学習」と、それを支える「データセンター」の爆発的な増加にあるのです。
以下の記事では、AIで節約できる電気についても詳しく紹介しています。
合わせて読みたい記事:太陽光パネルにはHEMS(ヘムス)がおすすめ|電気の自動最適化
AIによる電力使用量の増加は本当に起きているのか?
近年AIの急激な普及を受けて、一般企業や家庭の電気代が急に数倍になったり、電気が足りなくて停電が起きたり、などという問題はおこっていません。
一方でAIによる電力使用量の急激な増加はAIの開発や学習、運営を担う「データセンター」というところで起きています。
詳しく見ていきましょう。
データセンターの増設で電力需要が増えている
AIによる電力増加は、主にデータセンターで起きています。データセンターとは、大量のサーバーを設置し、検索や動画配信、クラウドサービスなどを支える施設です。





オフィスビル内にあるサーバールームの巨大版をイメージしてみてください。



Googleのような大企業のデータセンターは10万平方メートル以上の敷地面積があるんだって



大型ショッピングモールくらいの大きさなのね
このデータセンター内には、AIの頭脳となる「GPU」という半導体がぎっしりと並び、休むことなく計算を続けています。



この計算を動かすために、膨大な電気が必要なのね
その通りです。さらに、パソコンやスマホを使い続けると熱が出るのと同じように、これだけの計算をすると猛烈な熱が発生します。
放っておくと機械が壊れてしまうため、強力な「冷却装置」を24時間動かし続けなければなりません。 実は、この「冷やすためだけ」の電力が、施設全体の3〜4割にものぼることがあるのです。





便利なAIの裏側で、そんなに壮絶なことが起きているなんて……



インターネットやIT産業では、すべてがオンラインで完結し、物理的に資源を使用していないというイメージがあるかもしれません。
しかし時代の変化とともに莫大な量のデータの処理と利用者数に成長したことから、たくさんの資源に支えられた産業になっているのです
日本と世界のデータセンターの増加状況
現在日本国内には、東京や大阪を中心に多くの日本企業のデータセンターがあります。そして、日本企業でなくてもGoogleやMicrosoftのようなアメリカの大手企業のシステムやクラウドサービスを使う場合でも、サーバーやデータセンターは日本国内の施設で処理されているものもあります。
この施設を動かすための電気は日本の電力会社が供給をしたり、敷地内に太陽光パネルを設置し発電をおこなったりしてまかなっています。
日本のデータセンター市場は右肩上がりに伸びており、2023年の約2.7兆円 から
2028年には 約5.1兆円と5年前の1.9倍の市場規模になると予測されています。


参照:総務省|令和7年版 情報通信白書 IDC Japan, 2024年10月 「国内データセンターサービス市場予測、2024年~2028年」(JPJ51508524)
では、海外を見てみましょう。
このグラフでは2025年の世界のデータセンターの件数を比較できます。


ダントツでデータセンターの件数が多いのがアメリカの5426件で、2位のドイツの10倍近いデータセンターがあることになります。
Google、Microsoft、Meta、Amazonなど世界的なテクノロジー企業の本拠地はアメリカに集中しています。日本の企業がAIを使ったサービスを導入する場合も、もとはアメリカにある企業の生成AIを基盤にしていることも多いでしょう。



ChatGPTやGeminiなど使われている生成AIもアメリカ企業のものだね



アメリカにこれだけたくさんのデータセンターがあるのも納得できるわね
このように考えると、AIと電力不足の関係は日本国内にとどまらず、海外情勢とも密接にかかわっています。
以下の記事もデータセンターについて詳しく解説しています。
合わせて読みたい記事:生成AIに伴う環境負荷とは?データセンター増加で電力を大量消費
一般企業・家庭への影響は?



AIが普及したせいで、うちの電気代も上がっているのかしら?
AIの普及で家庭や一企業のレベルで電力が大量に必要になったということはまだありません。
これは、AIが行う計算は、AIを運営している会社で行われており、一般企業や家庭ではその結果だけを受け取っているからです。



電気代が上がっているのは、再生可能エネルギーを増やすための再エネ賦課金が増えているなど、別の理由なんだね
しかし、20年、30年という長い目線で考えれば、社会全体の電力需要がかつてないほど高まるのは間違いありません。化石燃料には限りがある中で、いかにエネルギーを安定して「供給」し続けるか。これは私たち一人ひとりにとっても、無視できない課題になっていくでしょう。
合わせて読みたい記事:【必見】再エネ賦課金はいつまで続く?安くしたい人への対策を解説
AIで使う電力をどうやって確保するの?
AIの普及によってデータセンターの電力需要が増える中、電力会社、政府、そして企業はそれぞれ対応を検討しています。今、将来に向けて、どんな準備が進んでいるのかまとめました。
省エネ技術、省エネ設備の進歩
今よりも、さらに少ない電力でAIを使い続けられるよう、専門家によってさまざまな開発が進んでいます。
- 燃費の良い「頭脳」を作る: 半導体の性能を上げ、同じ計算でも消費電力をグッと抑える改良が進んでいます。
- AIを「ダイエット」させる: 巨大なモデルをそのまま使うのではなく、必要な機能だけに絞った「軽量モデル」を活用し、無駄な計算を省く技術が注目されています。
- 自然の力を借りて冷やす: あえて寒い地域に施設を建てて外気で冷やしたり、電気が余っている時間帯を狙ってAIを動かしたりと、場所や時間の工夫も進んでいます。
再生可能エネルギーの利用
電力会社から電気を買うだけでなく、自分たちで電気を作る動きも加速しています。
今、世界中のデータセンターでは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーへの切り替えが急速に進んでいます。施設の隣に広大な専用の太陽光発電ファーム(発電所)を建設し、そこから直接データセンターへ電気を送り込むという「電気の自給自足」ともいえる取り組みが始まっています。



これまでのIT企業はソフトウェアの会社というイメージでしたが、これからは「エネルギーを自ら生み出し、管理する会社」としての側面も強くなっていくのかもしれませんね。
合わせて読みたい記事:国内外の環境トピック10選|脱炭素・循環型社会の事例と最新動向
AIの需要予測や電力制御で無駄は減らせる
AIは電気を多く使う技術ですが、一方で電力使用の無駄を減らすことにも役立ちます。
電力不足を解決するには、ただ使う量を減らすだけでなく、「必要なときに、必要な場所へ、効率よく届ける」ことが大切です。AIはその持ち前の「予測する力」を使って、社会全体のエネルギーの無駄を削ぎ落とす役割も期待されているのです。
需要予測で発電の「作りすぎ」を防ぐ
AIは、過去の天気や気温、人々の活動データをもとに、「明日、どのくらいの電気が使われるか」をピンポイントで予測します。 予測が正確になれば、電力会社は「念のため多めに発電しておこう」という無駄な燃料消費を減らせます。国全体で見れば数%の改善かもしれませんが、安定した電力供給を支える大きな一歩になります。
太陽光発電や風力発電の最適化
太陽光や風力は、お天気次第で発電量がバラバラのため、これまでは、発電した電気が余りすぎると「もったいないけれど発電を止める」なんてこともありました。 でも、AIが発電量の変化を先読みすれば、余った電気を蓄電池に貯めるタイミングを指示するなど、再生可能エネルギーを100%使い切るための「頼れる助っ人」になってくれます。
ピーク需要を最適化
みんなが一度に電気を使う「ピーク時」は、発電所に大きな負担がかかります。 そこでAIは、「今は電気が混んでいるから、工場の稼働を少しずらそう」「蓄電池の電気を今使おう」といった具合に、電力使用のタイミングを賢くコントロールします。 まるで交通整理のように電気の流れを整え、今ある施設や設備でできる最大限の電力を引き出してくれます。
合わせて読みたい記事:デマンドレスポンスとは?仕組みやメリットまでわかりやすく解説!
合わせて読みたい記事:VPP(仮想発電所)は広まるのか?2025年の実情と未来の在り方を考える
AIブームが必要な落ち着けば電力は減るのか
2024年から2025年はAI元年ともいわれ、この風潮は今もとどまることがありません。



でも、この熱狂が冷めたら、電力不足も落ち着くのでは……
と思うかもしれません。
しかし、結論から言うと、必要な電力が今後減っていくことは考えにくいのが現実です。
かつてインターネットやスマートフォンが「一時の流行」で終わらず、今やなくてはならない「社会の土台(インフラ)」になったのを思い出してみてください。AIも同じ道を歩もうとしています。
今よりもっと高度なAIを作るためには、さらに多くの計算=電気が必要になります。
今はまだ使い始めていない国や人々、企業が、これからどんどんAIを使い始めます。
つまり、ブームとしての「騒がしさ」は落ち着いたとしても、私たちの生活の裏側でAIが動き続ける限り、電力需要は右肩上がりで増えていくと予想されます。
だからこそ、これまでお話ししてきたような「省エネ技術」や「新しいエネルギーの確保」といった対策が、一刻を争うほど重要になってくるのです。
まとめ:AIと電力の未来図
いかがでしたか? たった10秒の動画生成の裏側には、これまでとは桁違いの膨大なエネルギーと、それを支える巨大な設備の世界が広がっていました。
AIが私たちの日常に溶け込み、「当たり前」の存在になっていくこれからの社会で、電力不足は単なる技術の課題ではなく、地球全体で取り組むべき大きなテーマです。
この記事が、あなたの手の中にあるAIと、その先に続く社会の動きに目を向ける一つのきっかけになれば嬉しいです。
「AI時代の電力不足」に、わが家ができる備えを。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
AIの進化によって社会全体の電力が足りなくなっていく未来、それは決して遠い国の話ではなく、私たちの「電気代」や「暮らしの安定」に直結する課題です。
国や企業が対策を急ぐ中で、今、個人ができる賢い選択のひとつが、エネルギーの自給自足です。
自宅に太陽光システムを設置することで、将来電力不足になっても、自宅分の電気は自宅でまかなうことができます。また化石燃料の不足や世界情勢の変化で電気代が急に上がった場合でも、安心です。
ここで注意!
太陽光発電では、どんな家庭でも設置に向いているわけではありません。
太陽光発電の設置でトクになるケースと、設置をすると費用の方が高くついてしまう場合があります。



そもそもウチって太陽光設備の設置はできるのかしら?



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