私たちが住む社会には、環境破壊や人権侵害などのさまざまな問題があり、それらを解決するために必要な考え方がエシカルといわれています。エシカルは「倫理的・道徳的」という意味です。
「倫理的、道徳的とかむずかしい話は嫌い」
そう思ってしまうのも無理はありません。しかしあなたの思いやりを持った行動が未来や社会を変える力となる、と知ったらどうでしょうか。
エシカル消費とは、要するに物やサービスを購入するときに、その背景にある環境や人に対して、思いやりを持ったアクションを取ることです。
けれど実際には何をどうすればいいのかわからない人がほとんどですよね。
この記事ではエシカル消費の意義やメリット、身近な取り組み事例までわかりやすく解説します。読み終わったら、自分にできることが必ず見つかりますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
エシカル消費ってなに?
まずはエシカル消費とはなにか、なぜ必要なのかをわかりやすく解説していきます。
なぜ必要なの?
エシカルとは英語の「ethical」から来ており、意味は「倫理的・道徳的」です。倫理的・道徳的とは要するに、周りに対して思いやりを持つということです。
つまりエシカル消費とは、社会や環境、人に対して思いやりを持ち配慮した消費活動を行うことです。(参照1)
ではなぜそのようなエシカル消費が必要なのでしょうか。
私たちの住む世界には、さまざまな問題があります。どのような問題があるのか代表的なものを見てみましょう。
地球温暖化
地球温暖化とは温室効果ガスが増えることで、地球の表面が熱くなる現象のことです。地球温暖化は気候変動へと繋がり深刻な猛暑や異常気象を招きます。地球温暖化は、人間の生活や経済活動から排出される大量の温室効果ガスが原因といわれています。このまま気温上昇が進めば、人間が地球上で生活することは困難になるといわれています。(参照2)
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環境破壊
私たちは便利さを追求するあまり物を大量生産大量消費しては、環境を破壊しているという現実があります。プラスチック製品はその代表的なもので、捨てられたプラスチックやペットボトルが海に流れ着き、世界的な海洋汚染問題を引き起こしています。このままだと2050年には海のプラスチックごみは魚の量を上回ると予測されており、海の生態系は危機的状況です。(参照3)
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人権侵害
人権とは「人が生まれながらに持つ権利」のことです。誰であろうと人権は守られなければなりません。しかし世界では多くの貧しい児童が教育を受けることもできず、低賃金で労働させられています。例えばコーヒーや砂糖、衣類などの身近な製品のほとんどは、過酷な環境で長時間働かされている児童労働により生産されています。そのような製品購入することで、私たちは知らないうちに人権侵害に加担していることになるのです。
このような問題は、すべて私たちが製品やサービスを購入するときにその背景を知り、環境や人に対して思いやりを持つことで解決へと向かうことができます。エシカル消費はそのためのアクションです。
SDGsとの関連
SDGsとは、国連が定めた持続可能な社会を構築するための目標です。17のゴールとさらに細かいターゲットでできています。SDGsの目標を見れば、気候危機や人権侵害、児童労働、貧困問題、生物多様性の損失など、世界の抱えている問題がわかります。
エシカル消費については、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」が大きく関係しています。これは持続可能な生産方法や消費する取り組みを進めていこうという目標です。(参照4)
参照4:ユニセフ
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エシカル消費のメリット

エシカル消費が大切なのはわかったけど、生活が不便になるのはいやだわ。



エシカル消費が生活を不便にすることはありません。むしろたくさんのメリットがあると言われています。



どんなメリットがあるの?



エシカル消費には、次のようなメリットがあります。
- 生活の質が向上する
- 安心安全な商品を手に取れる
- すべての命を守ることにつながる



それぞれをもっと詳しく教えて。



日用品などはすぐダメになるようなものではなく、質のいいものを購入しましょう。高品質なものは長く使うことができるので、結果的に経済的で生活の質は向上しますよ。
またエシカル消費は地産地消やフェアトレード品の購入を推進しているので環境や生産者に配慮された安心で健康にいいものを選ぶことだできます。また生き物に対して思いやりを持つことは、生物多様性の保護や自然の損失を防ぎ、自然からの恩恵を長く受けることにつながります。



お手軽な便利さより質の高さや安全性、長い目で消費について考えることが重要なのね。
エシカル消費の取り組みを紹介
エシカル消費にはいろいろな取り組み方法がありますが、ここでは代表的なものを解説していきます。
フェアトレード
商品を安価に販売するために、開発途上国では不当な条件で働かされている労働者や児童が多くいます。フェアトレードとは「公平・公正な貿易」という意味です。原料や製品を適正な価格で購入し、生産者労働者に正当な対価を支払います。
公正な取引を行うことで児童労働や不当労働、環境破壊を減らすことが目的です。私たちがフェアトレード品を購入することで、その取り組みを応援することができます。(参照5)
グリーン購入
グリーン購入とは、製品やサービスを購入する際に環境を考慮し、必要性を考えてできるだけ環境負荷の少ない製品を購入することで日本でも推進されています。
しかしグリーン購入は、製品やサービスの内容によっては、製造過程や廃棄時に環境負荷がかかる場合もあるためしっかりと考慮することが大切です。(参照6)
再生可能エネルギーの導入
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を推進することもエシカル消費につながります。なぜなら再生可能エネルギーは化石エネルギーと違い、温室効果ガスの排出が少ないため、地球温暖化抑止に貢献することが可能だからです。近年家庭でも再エネが利用可能なので、契約している電力会社に聞いてみるといいでしょう。(参照7)
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カーボンプライシング
カーボンプライシングとは、温室効果ガスの代表である二酸化炭素(CO2)の排出量に価格をつけ、金銭的な取引をする仕組みです。そうして企業や個人から排出されるCO2を低減していくことが狙いです。日本では、2026年から企業に対して排出権取引が義務化される予定です。(参照8)
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参照5:フェアトレード・ジャパン
参照6:環境省
参照7:資源エネルギー庁
参照8:資源エネルギー庁
企業の取り組み事例
ここでは、実際に企業が取り組んでいるエシカル消費について紹介します。こういった取り組みをしている企業の商品を購入したり、利用したりすることもエシカル消費になりますよ。(参照9)
参照9:消費者庁
【プラスチック削減】伊藤忠ファッションシステム株式会社
プラスチックごみとして問題になっているマイクロプラスチック(5mm未満)は、家庭などの洗濯で処理しきれなかったものがそのまま海や川に流れ出ていると言われています。
伊藤忠ファッションシステム株式会社は、2021年より繊維由来のマイクロプラスチック排出量を削減し、海の環境保全に配慮した商品の展開をスタートしています。(参照10)
参照10:伊藤忠ファッションシステム株式会社「『LESS MICRO PLASTIC』」
【脱炭素】日清紡テキスタイル株式会社
洗ってもまったくシワが気にならない画期的な次世代ノーアイロンシャツ「アポロコット」を2009年に完成。アイロン掛けが不要なため、電力の節約と併せてCO2の削減にもつながります。(参照11)
参照11:日清紡グループ「サスティナビリティ」
【フェアトレード】株式会社プレス・オールターナティブ
1985年に設立・創業した株式会社プレス・オールターナティブは、社会問題を事業化するため日本で初めてフェアトレードを扱う「第3世界ショップ」を立ち上げました。
生産者パートナーと協働して、環境に配慮した商品の開発や生産技術の向上や品質向上に取り組み、適正な価格で取引し生産者と共に未来を設計する取り組みを続けています。(参照12)
参照12:株式会社プレス・オールターナティブ「第3世界ショップとは」
【リサイクル】ナカノ株式会社
150年以上の歴史を持つナカノ株式会社は、一般家庭で使用され廃棄された洋服や布類を、「再び着る服」や「産業用の油ふき」として、さまざまな製品の材料となる綿としてのいずれかで活用し、古着・古布のリサイクルを長く行っています。(参照13)
参照13:ナカノ株式会社「環境・CSR」
自分たちにできることって?



エシカル消費で、自分たちができる身近な取り組みが知りたいわ。



身近なエシカル消費はたくさんありますが、いくつかご紹介しましょう。
- 必要ないものは買わない
- 物を大切に長く使う
- エコバッグを持ち歩く
- マイボトルで飲み物を飲む
- フェアトレードの商品を買う
- 節約、省エネ、再エネを実行する
- 身近な生き物を大切にし生物多様性を保護する
- 環境問題について最新の情報を取り入れる



どれも無理なく取り組むことができそうね!



例えばエコバッグではなくてもレジ袋を捨てずに常にカバンに入れて何回も使えば、新しいものをもらわずに済み無駄になりません。これも立派なエシカル消費ですよ。何よりもまずは自分ができることから取り組むことが大切です。



まずは自分なりの工夫が大切なのね。



また地域の事例では、北海道鷹栖町の地産地消を目的とした「手作りマルシェ」の開催。岐阜県では、県内の事業者、県民、行政が一体となって、オール岐阜でプラスチック資源の循環を促進する取組みを行う事業所の登録制度があります。(参照14)そういった自治体の取り組みを利用するのもいいですね。
参照14:消費者庁
まとめ:エシカルな消費を生活に取り入れてみる
私たちが地球の未来を考えるうえで大切な取り組みエシカル消費についてわかりやすく解説しました。道徳的・倫理的というと、なんだか堅苦しく難しくて自分には無理と思っていた方も、少しは自分にもできるかも?と、気軽になったのではないでしょうか。
物やサービスを購入するときにはそれらの後ろで働いている人や、そっれらが作り出されている環境について思いを馳せてみてください。そこに思いやりをもつことで社会や未来は大きく変わります。
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